宇宙の謎を哲学的に深く考察しているサイト

宇宙論には基本的に二つの考え方がある

宇宙論と聞くとビッグバン理論相対性理論などを普通は想像するだろうが、しかし哲学的な意味での宇宙論も存在する。

(正確には認識論と言われたりする)

それは一見当たり前すぎてそのような考えとしてすら認識されていなかったり、逆に宗教か何かの教えと思われていたりする。

だが実際はそのような単純なものではない。

では今からそれを紹介しよう。



■マテリアリズム(唯物論)

マテリアリズムとは、宇宙の本質は物であるというもの。

ごく普通の考えといえる。

宇宙空間には無数の星が存在する。

ではあなた(自分)が死んだとき、それはどうなるのか?

マテリアリズムによると星々はその後も今まで通り存在し続ける

さらに宇宙中の生物が絶滅しても、まだそこにあり続ける。(星がもう生成されないほど時が経つまで)

この考えは当たり前の事のように思えるが、しかしそれは日常的な視点(常識)で捉えた場合であって実際のところそれが事実かは議論の余地がある。

マテリアリズムが間違っているという完全な"証拠"は現在のところ存在しないものの、しかし量子力学ホログラフィク原理(宇宙ホログラム説)などを考慮すると単純にイメージできるマテリアリズムはもう既に崩壊していると言ってもいいだろう。

では単純ではないタイプはどのようなものかとなるが、それは一旦置いておいて次に進む。

■イデアリズム(観念論)

イデアリズムは簡単に言うなら意識(精神)が宇宙を構成しているという考えである。

宗教っぽい響きであるが、しかしこれは決して"科学"に反する考えと言うわけではない。

なぜなら物理法則というのは実は意識の作用であると定めれば、それ自体は別に問題ないからである。(物理学などは意識の作用を研究しているという事になる)

つまりマテリアリズムとは宇宙の捉え方が違うだけである。数学の定理などは何も変わらない。

そして物と思っているものは実は物ではなく意識の投影とかそのような感じになるだろう。(意識の外に単独で物は存在していない)

ではイデアリズムに従うと、あなた(自分)が死んだとき、"世界"はどうなるのか?

実はこの理論はそれが最大の問題と言える。

他の意識が宇宙に存在するので今後も世界は存在するはずである。

しかし、宇宙に存在する生物の最後の一つが消滅するとどうなるのか?

というか宇宙は意識が作っているというのであれば、死んだ生物の精神はどこへ行くのか?

それに生物が誕生する前の段階の宇宙はどう説明する?

などと、先ほどこの理論は科学に反さないと言ったがそれは"自分"が生きている間だけであって"死"を考慮するとそう言ってられなくなる。

(死後の世界を説明する理論でもあれば話は別だが)

なのでこの点を考慮すると物質(脳)が精神(意識)を作っているとするマテリアリズムの方が説得力がある。

意識は物質の作用であるので、「その生物が消滅すれば意識も同時に消滅する」と簡単に説明できる。

これが一般的にそこそこ支持されている理由は当然といえる。

※この国では57.4%が幽霊の存在を信じているというデータがあるので死=無という単純なマテリアリズム的思想は実は多数派ではない

だがイデアリズムには他にも種類が存在する。

それを考慮せずにそもそも哲学は語れないと思うのだが、しかし人気がないので無視されるのが一般的である。

だがこのサイトでは無視せずに積極的に取り扱っている。

それがこれである。

■ソリプシズム(独我論)

イデアリズムと基本概念は同じなのだが、しかしこれは「自分」の視点でのみしか宇宙は存在していないという考えである。

この理論に従うと"皆""我々"は実際は存在しておらず、自分しか(意識を持った存在としては)存在していない。

現実が存在する視点が一つに絞られているので、通常のイデアリズムよりも色々と辻褄を合わせやすい利点がある。

ただし(おそらくほぼ全員が)自分は意識を持っていると主張するので誰の視点で宇宙が存在するのか"世界"が判断する方法はない。

しかも孤独感が強いので一般受けしにくい。

更に古典的なソリプシズムによると意識の外には何も存在していない

しかしだとしたら、なぜこのような物理法則が世界には存在するのか?

つまり何がそれをコントロールしているのか?

仮に意識そのものがコントロールしているのであれば、なぜ意識の主は神のように世界を自在にコントロールできないのか?(実はコントロールしているというのであれば話は別だが)

と言ったような疑問が残る。

その点イデアリズムであれば宇宙的な精神(神?)がコントロールしているなどと真実かどうかはともかく解釈することができる。

我々は全員神の頭の中にいるという感じだろう。(なので個々の意識には現実を思い通りに動かす力はない)

古典的なソリプシズムの場合ではそのような解釈すらできない。

いや、不可能ではない。

だがそれを機能させるには普通の生物から見た現実は実は一切存在せず、神の視点でしか現実は存在しないというのを受け入れる必要がある。

先ほどのイデアリズムと似ているが、しかしこの場合個々の意識が存在しないだけじゃなく"自分"という概念すら存在しない(神しか存在していない)のでこれを受け入れれる人は通常のソリプシズムより更に少ないだろう。

という具合にどれも一長一短だが、しかし現代的な感覚でこれらを考え直すとまた新しいものになる。

近年、宇宙は情報(数学)で出来ているという考えが広まっている。

デジタル物理学なども登場し年々それは強まっている。

それと強く関連した宇宙はコンピュータで出来ているというシミュレーション仮説の議論も同じく活発になっている。

では「情報」を考慮すると先ほどの考えはどう変化するのか?

詳細はデジタル物理学(シミュレーション仮説)で取り上げているが哲学の項目でも少し取り上げよう。

次の"情報"を考慮した宇宙論へつづく。