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EMドライブが持つ意味は社会的に見ても大きい

EMドライブという怪しげな推進システムがある。

これがもし本当に起動するのであれば一大事になる可能性があるのだが、その事に気付いている人はあまりいないと思われる。

ただその話の前にこれに関して結構適当な噂が広まっていたりするので、ここでその装置の(現在分かっている)実態をまずは簡単にまとめてみる。



■月まで「4時間」はデマ

NASAの実験によって確かめられた(とされる)データだと月まで4時間どころか現在普通に存在する推進システムの方が遥かに早く月まで達することができる。

どこでもそうだがマスコミというのはかなり誇張した情報を流すものなのでこういう夢のような話が出た時はあまり当てにしない方がいい。

しかし、確かに将来はどうなるか分からない。

研究が進めば本当に月まで4時間レベルまで達するかもしれない。

だが少なくとも現在のレベルだと月まで4時間は嘘である。

■EMドライブの真偽はまだ疑われている

NASAがこの装置の存在を確定した!などと情報が流れていたりするが実際はまだ議論の余地が大いにあるようである。

私が調べた限り大半の科学者はそのデータはエラーの産物だと思っている。

なので正確には議論の余地というより存在しない前提で疑っているという感じである。

ちなみに中国も実験によってこの装置の存在を確認したと発表しているのだが、当たり前(?)のように世界中の誰も耳を貸していない

NASAの発表すらエラーだと疑われているのだから当然といえば当然である。

■自分で自分を持ち上げるようなもの

なぜEMドライブが現在でもあり得ない前提で疑われているのか、それはこの装置が現代物理学の「常識」に反しているからである。

この推進原理は言うなれば車の中に人がいて、中から車を押すとなぜか前に進むという感じらしい。

要するに基本的な作用反作用に反するものなのでエラーに決まっていると思われているわけである。

というのが2017年7月現在までのEMドライブの真偽に関する情報である。

去年の11月からほとんど進展がないのが気になるが、今年中にまた何か発表があるかもしれない。

何も無いならちょっと陰謀論をとなえたい気分である。(後述)

ではここからはEMドライブの基礎知識や日本ではあまり伝わっていない情報などをまとめてみる。



■実は科学者は不安がっている?

あくまで私の見解でしかないが、どうも科学者はこのNASAの結果に動揺している。(ように見える)

たとえばこの装置を否定する時に「そのデータだと推進力はあって無いようなもの」という言い方で否定しているのを見かけたことがある。

それに感情的な否定も結構見かける。

だがこの話のポイントは実用的な推進力を得れるかどうかではなく本当にこれが動くかどうかのはずである。

そもそも実用性の有無なんてものは将来どうなるか分からないのだから現在のテクノロジーのレベルでこの装置の価値を決めること自体おかしな話である。

このような部分から不安さが伝わってくるように感じる。

というのもどれだけ推進力が低くても、もし本当に作動するのならそれは現代物理学に何か穴があることになる。

それが現代物理学の根底が間違っているという意味にはならずとも何か抜け穴があるのならそれは科学界にとっては大事件だろう。

なので先ほど陰謀論をとなえるとか言ったが、それはエラーの可能性を消せる確実な実験で本当に動いてもらったら困るから実験が滞ってるのではないかとちょっと疑っているわけである。

推進力が弱いからその確実な実験を行うのが難しいという理由も当然あるだろうが、しかし何であろうと個人的にはこの真偽を早く明らかにしてもらいたい。

エラーならエラーでもいいが、ただ本当に動く方が物理学の常識が崩れるのでそっちを期待している。

そうなった時の科学界の反応が個人的には本当に興味がある。

■発明者もよく分かっていない?

ロジャー・ショーヤーというイギリスの航空宇宙技術者がEMドライブを発明したのだが、そもそもなぜこれを思いついたのだろう?

この部分は詳しく調べていないから分からないだけかもしれないが、しかし原理が不明なのであればどうやって不明な原理のものを思いついたのかが謎である。

つまりこれは、勘違いによる偶然の発明ということなのだろうか?

上手く原理を説明できないのであればおそらくそういう事である。

ただ説明する理論は一応あるらしいが、普通の科学者の反応は冷ややかである。

その理論の候補としてこのサイトの量子力学の項目でも取り上げているボーム解釈(パイロット波)や、ウンルー輻射などが挙がっている。

参照:ナショナルジオグラフィック(外部リンク)

ちなみに仮にボーム解釈で説明可能となれば、これは間違いなく科学界以外にも影響が出る事件になるだろう。

ほとんどの人はこの真偽の重要性を分かっていないと思われる。

というのもボーム解釈の証明は、宇宙が決定論で動いている証拠(運命は最初の時点から決まっている)になるので、これは社会的な影響がこの先あり続ける可能性が高い。

確率論か決定論かハッキリしていないので人々は自由意志のような事について議論を交わす。

運命は自分で切り開くものという言葉もそういう自由意志の意味がある。

確率論が正しい場合でも自由意志を否定することは可能だが、しかし確率論の解釈として意思を持ち出すことができる。それを科学的に否定することはまず無理である。(量子力学の実態を完璧に把握する必要があるから)

だが決定論が正しいと確定すると、その議論の余地が消滅してしまう。

そうなったらたとえ突然じゃなくとも徐々に社会的に影響が出始めるのは間違いないだろう。

(ただしこのサイトのデジタル物理学(シミュレーション仮説)から発生した解釈の一つであるシュレーディンガーの猫もどきの理論を信じるのであれば、決定論の宇宙でも自由意志を持つことはできる)

話を戻して、つまりこのEMドライブの持つ意味というのは様々な意味で深いわけである。

技術的な進歩にのみ目が行きそうになるが、その裏側に存在する意味にも目を向けるとこの装置がまた違ったものになる。EMドライブは奥が深い。(エラーの産物であればそれまでだが)

ちなみにEMドライブに関する情報は新しく何か判明し次第また取り上げる予定です。