二重スリット実験から見える「物」の本質とは
■前回
二重スリット実験の結果は「物」は本当は一体何なのかという基本的な定義を考えさせるものであったが仮説は色々とある。
場の量子論によると粒子は本当は粒子ではなく「場」(フィールド)の振動で出来ているらしい。
しかし次は「場」の本質は何なのかと話が移るので哲学的な解釈としてはまだ先まで考える事ができる。
ちなみに近年よく注目されている仮説は、情報である。
シミュレーション仮説(デジタル物理学)というのを聞いたことがある人はいると思うが、それと量子力学を関連させた考えが存在している。
簡単に説明すると宇宙はコンピュータで作られているから波動関数のような奇妙な性質のものが現実に存在しているというわけである。
そう考えると物の本質は「数学」、つまり「情報」という事になる。
と言い切るのは現時点では不十分だし次はだったら数学(情報)の本質とは何なのかなどかなり深い哲学的問題に発展するが、しかしそのような問題を一旦置いておいて「物の本質は情報」が正しいと仮定すれば量子力学の奇妙さはそれほど奇妙ではなくなるように思える。
ただ、この仮説自体が奇妙ではある。
それに物の本質は情報=宇宙はコンピュータで出来ていると単純に考えれるわけでもない。
実際はもっと話は複雑である。この点は非常に誤解されている。(詳しくはデジタル物理学の項目をご覧ください)
では量子力学に話を戻し次は量子エンタングルメント(量子もつれ)について。
そこで説明するベルの不等式を知れば量子力学の深さを二重スリット実験以上に感じ取れるかもしれない。
第二章へつづく。
■第二章
量子エンタングルメントについて(EPRパラドックスとベルの不等式の説明)